Tokyo Mac Blog

「フジテレビ制作」というのが一種の鬼門。
そこをスルーして観てみよう。

 

『ウオーターボーイズ』『スイングガールズ』の矢口監督最新作。にして、おなじみのコメディシリーズとはちょっと違う感触の映画になっていましたよ。

まずは、その2本ってテレビ局絡んでる系だしなー・・・というフィルターを外して真っさらで観てみましょう。

平たく言うと、日本(ならでは)のディザスターモノ。いちおうSF。にして、ロードムービー。でも、あの矢口監督・・・CMや予告編だと完全に『ウオーターボーイズ』『ハッピーフライト』の世界、家族が停電に巻き込まれての5分に一度は爆笑のドタバタ劇だと勘違いしてしまいそうですが、こーれが!!シリアスとコメディが絶妙のバランスで共存する映画になっていたので驚きですよ。

この共存させる技術はやっぱりこの監督ならではかと。笑えるシーンも、爆笑というよりシニカル(劇場全体が爆笑に包まれていたのは数回でした。)。黒い部分もけっこうアリ。

笑えるのか、怖いのかという摩訶不思議な感覚に襲われます。矢口監督流『ウオーキングデッド』とも言えるかも。なにしろ、311の東京を経験した我々ですから(公開日が211なのは偶然か)、かなりのデジャブ感に襲われます。そういえば、311の被災地のことを描いた映画やドラマはありますが、被災地から離れているあの日の東京を描いた映画はあまりみかけません。(といいつつ、この映画は特に311がテーマになっているわけではありません)

説明臭いセリフは皆無というテンポの良さはこの監督作品では言わずもがな、劇伴(音楽)はほとんどナシ。全編ロケ。CGはあまり使用していないようで、無人の高速道路や、スーパーマーケット、ホームセンターなどの演出もかなりのリアル感。
『ゾンビ』などの無人スーパーマーケット好きには堪らないシーンも多くあります。

映画好きにとっては「フジテレビ制作」というのが一種の鬼門になっちゃいますが、そしてSF好きにとっては「電気がなくなる」という詳細設定が甘いというのも鬼門なのですが、そこらあたりをすべて取っ払って、事前の評判などもスルーして観てみるのも一向かと。

もしかしたら、『ウオーターボーイズ』のように後々フジテレビで連続ドラマにするのかもしれません。それはそれで『ウオーキングデッド』に対する日本のお茶の間からの回答という一種おもしろいことになるのかも?

今までの矢口監督の映画は、「男のシンクロ」「女子高生によるビッグバンド」「航空会社の話」「電器メーカーの話」「林業の話」「パルコ(商業施設)」と、専門分野が主な舞台だったのですが、今回はそういった専門分野の話ではなく、我々の話で、しかも、かなりリアルなシチュエーションなわけで、SNSを読んでいるとそこにも観た方の一種の戸惑いが垣間見られます。

基本的には家族のイイ話なのですが、それに終わらない、何か得体の知れないフックが存在していました。矢口監督の次回作は、もしかしたらまったく笑いの無い、シリアスな映画になるのかもしれません。何かこの監督の過渡期の重要作品のような気もします。
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