TokyoMac専属のヤサグレたプログラマーに聞いた、濃ゆめのお話です。ミッド90年代に、(当時としては)とんでもないMac用のソフトウエアが発売されました。「ラムダブラー」というそのソフトをMacにインストールするだけで、Macのメモリを倍増させてしまうという当時としては夢のような、魔法のような、そしてウソのようなソフトウエア。
例えば、複数のアプリを同時に開こうとするだけで異様に動きが遅くなった当時のMac。そして、メモリがバカ高い時代。このラムダブラーを入れた日からは、まるでウソのようにバンバン複数のソフトがストレスなく動き出して、Macが超パワーアップ!!たちまちここ日本でも大ヒット。メモリが異様に高かった当時に、安いソフトをインストールするだけでメモリ増設できる!というルール違反のユーティリティソフトでした。
で、その90年代なかばの大ヒットソフトの技術がそのまま、今のMac OS Xに搭載されているのです。意外なことに、やっとこさ、マーベリックからの搭載。El Capitanからは、アクティビティモニターで確認できます。「メモリ」→「メモリ圧縮」ってやつがソレです。
マーベリックの頃(2013年)、CNETでこのことが紹介されていました。つい先日までAppleのサイトにもこのメモリ圧縮のことがデカデカとPRされていたマーベリックのページがあったのですがなぜか消えていました。
Memory compression brings RAM Doubler to OS X Mavericks CNET
http://www.cnet.com/news/memory-compression-brings-ram-doubler-to-os-x-mavericks/
で、ラムダブラー的な技術は、今のWindows 10、あるいはAndroid OSにも使用されているらしいのです。アンドロイドは4.4から組み込まれている「メモリ不足になった際に、メモリの内容をディスクへ退避させるのではなく、データ圧縮で空領域をつくる」ってやつ。このzramってやつがそんな感じ。
「メモリを空けるために、通常はHDにデータを退避させるけど、zramは圧縮機能が付いたramディスクに退避させる。ramディスクはメモリ上に作るものだから、やってることは結果的にラムダブラーと同じだと思う。」と、ヤサグレプログラマー氏。
「ただ昔と今で、なぜラムダブラーの技術を使ったのかというと・・・
昔:メモリ買うと高いから。
今:データをHDに退避すると遅くなるから。
と、理由が違ってるけどね。あと・・・これは個人的な穿った見方かもしれないけど、Macはメモリ増設しにくかったし、さらに今のは全くできなくなってるから、それを補うためにこの機能を付けたのかもしれないし、違うかもしれないし。」(前出・ヤサグレプログラマー氏)
なるほど。こんなお勉強もたまには良し。温故知新。